倉敷美観地区を散策中、竹の棒がついた団扇(うちわ)を手に、ひょこひょこと歩く「おじいさん」と「おばあさん」の面に出会ったことはありませんか?
初めて見る人は「……怖い?」と足を止めてしまうかもしれません。しかし、彼らこそ倉敷が世界に誇る最強のラッキーキャラクター「素隠居(すいんきょ)」なのです。

1. 素隠居の正体は「身代わり」の若者?
素隠居の歴史は古く、元禄時代まで遡ります。 倉敷の鎮守である阿智神社の祭礼で、隠居(老後)を迎えた夫婦が「自分たちの代わりに若者を歩かせた」のが始まりと言われています。
- 名前の由来: 「素(す)の隠居」=ただのご隠居さん。
- ビジュアル: 「じじ」と「ばば」の面を被り、赤い着物のような衣装を身に纏う。
ネットの世界では「映え」が重視されますが、この素隠居のビジュアルは、一度見たら忘れられない「究極のインパクト」がありますよね。
2. 叩かれたら勝ち!「渋うちわ」のすごいパワー
素隠居が持っているのは、ただのうちわではありません。「渋うちわ」です。彼らはこのうちわで、道行く人の頭を「パンパン!」と叩いて回ります。
現代なら「えっ?」となる光景ですが、倉敷ではこれが大歓迎されるのです。
- 無病息災: 叩かれると1年間、病気をせず元気に過ごせる。
- 学力向上: 特に子供は、叩かれると「頭が良くなる」と言い伝えられている。
この「叩かれる=ご利益」という意外性が読者の滞在時間を延ばすフックになります。子供が泣き叫び、親が笑顔で頭を差し出す。このコントラストこそが倉敷の風物詩なんです。
3. どこで会える?素隠居に会うためのヒント
素隠居はいつでも街にいるわけではありません。主に以下のタイミングで出没します。
- 阿智神社の春季・秋季例大祭: ここが本番。街中が素隠居で溢れます。
- イベント時: 美観地区の催し物に合わせて登場することも。
彼らは気まぐれに路地から現れます。もし見かけたら、怖がらずに(あるいは少し勇気を出して)頭を差し出してみてください。

写真提供:倉敷素隠居保存会
倉敷の魂は「素隠居」にあり
30年前から倉敷を見てきましたが、どれだけ街が近代化しても、素隠居が子供を追いかけ回す光景だけは変わりません。
「伝統」とは、こうして人々の笑顔(と、ちょっぴりの涙)の中に生き続けるもの。倉敷を訪れる際は、ぜひこの「叩かれる幸せ」を体験してみてくださいね。

