アップサイクル製品の事例12選|アップサイクル製品の特徴やメリット・デメリットもご紹介!

アップサイクル製品の事例12選|アップサイクル製品の特徴やメリット・デメリットもご紹介!

捨てられるはずのモノに、新たな命を吹き込む「アップサイクル」。アップサイクル製品は、環境問題への意識の高まりとともに注目を集めています。

本記事では、アップサイクル製品の注目の12ブランドの事例から、アップサイクルとリサイクル・ダウンサイクル・リメイクとの違い、そのメリット・デメリット、よくある質問まで、アップサイクルの世界を解説します。アップサイクル製品でのサステナブルな暮らしの参考にしてください。

 

 

アップサイクル製品とは?

アップサイクル製品とは?

アップサイクルは、不要になったアイテムに創造的な工夫を加え、別の価値ある製品として再生させる取り組みです。たとえば、古くなった家具をアート作品や雑貨として再利用したり、使えなくなった日用品を装飾品に変えたりと、その可能性は多岐にわたります。

単なる再利用ではなく、元の特徴を活かしながら、元より魅力的な形に昇華させる点が特徴です。廃棄物の削減や資源循環の観点からも、持続可能な社会の実現に寄与する方法として注目されています。


 

アップサイクル製品が注目されている理由

アップサイクル製品が注目されている理由

参考:環境省 サステナブルファッション

近年、アップサイクルという考え方が広まりつつある背景には、現代社会が抱える深刻な環境問題があります。特にファッション業界では、使い捨ての文化や売れ残り商品の大量廃棄が顕著で、その生産過程でも多くの資源を消費しています。

衣類の製造は多様な素材を用いるため、その分環境への影響も大きいです。さらに、プラスチックごみや食品ロスといった他の分野でも、アップサイクルを通じた改善が試みられ、持続可能な社会づくりに貢献しています。


 

アップサイクルと似た用語の違いと意味

アップサイクルと似た用語の違いと意味

アップサイクル以外にも似た言葉として「リサイクル」「リメイク」「リユース」「リデュース」があります。それぞれの言葉の違いを解説します。


リサイクルとの違い

リサイクルとアップサイクルは、どちらも環境負荷を軽減する取り組みですが、方法に明確な違いがあります。リサイクルは一度素材を分解し、原料として再利用するプロセスであり、製品の形状は一旦失われます。

たとえばペットボトルを細かく砕き、再び容器として成型するようなケースがリサイクルです。一方、アップサイクルは形や素材の特性をそのまま活かして新たな用途に変える方法です。

どちらの手法も資源を有効に活かすうえで重要です。


関連記事:アップサイクルとは?リサイクルとの違いやメリット・デメリットを詳しくご紹介します! – CLALAFOR


ダウンサイクルとの違い

ダウンサイクルとは、役目を終えたものに手を加えて再利用する点ではアップサイクルと似ていますが、変換後の価値が元よりも低くなる点が異なります。たとえば、着古した衣類を掃除用の布として再利用したり、読み終えた新聞紙を簡易的な容器として使用したりといった例が挙げられます。

アップサイクルが創造的な価値の向上を目指すのに対し、ダウンサイクルは実用的ながらも価値の低下を伴う再活用といえるでしょう。


リメイクとの違い

リメイクとは、既存の製品に加工を施して別の用途や形に変えることを指します。たとえば、不要になったシャツをエコバッグに作り直したり、布を使って小物を仕立てたりする行為がこれにあたります。

アップサイクルと混同されますが、リメイクは変化後の価値が必ずしも向上するとは限りません。価値が上がる場合もあれば、下がる場合もある点が特徴です。

そのため、創造的である一方、目的や方法によって分類が分かれるのがリメイクです。


 

アップサイクル製品の特徴

アップサイクル製品の特徴

アップサイクルは、不要になった素材に新たな命を吹き込み、元の価値を超える製品へと生まれ変わらせる手法です。この考え方はファッション業界でも注目を集めており、希少性や独自性のあるアイテムとして高く評価されています。

特に、バッグやシューズなどは、廃材からつくられたとは思えないほど洗練されたデザインで展開され、環境意識とスタイルを両立させる動きとして支持を得ています。アップサイクルは、持続可能な未来を志向する新たな価値創造のかたちです。


 

アップサイクル製品の製造工程

アップサイクル製品の製造工程

アップサイクルとリサイクルの大きな違いは、素材の扱い方にあります。リサイクルでは、一度原料レベルにまで分解してから再加工するのに対し、アップサイクルは素材の形状や特性を活かしたまま再利用します。

化学的な処理を必要としないため、エネルギー消費や環境負荷を抑えられるのが特長です。その分、素材選びや加工の工夫が求められるものの、長期的な視点で見れば、持続可能なモノづくりとして注目されています。


 

アップサイクル製品のメリット・デメリット

アップサイクル製品のメリット・デメリット

アップサイクル製品には、メリットだけでなくデメリットも存在します。メリットとデメリットの両方を理解した上で製品を選ぶようにしましょう。メリットとデメリットについて見ていきましょう。


メリット

アップサイクルは、環境への負荷を軽減しながら新たな商品価値を生み出せる手法として注目されています。廃棄予定の素材を活かすことで、ごみの削減や資源の節約に貢献できるうえ、製造時にかかるコストやエネルギーも抑えられる利点があるでしょう。

また、業種の枠を超えた製品開発も可能で、食品と雑貨、アパレルとアートなど異分野の融合により、ユニークなブランド展開が実現します。企業にとっても新たな市場開拓のチャンスとなります。


デメリット

アップサイクルは環境への配慮やSDGsへの貢献といった多くの利点がある一方で、いくつかの課題も抱えています。まず、廃棄物を原材料とするため、安定した供給が難しく、継続的な製造には工夫が必要です。

また、素材の選別や加工に手間がかかるため、かえってコストが上がる場合もあります。さらに、アップサイクル製品もいずれ劣化し、最終的には廃棄されるため、完全な循環型社会の実現には限界がある点も考慮すべきでしょう。


 

アップサイクル製品の事例12選

環境問題への意識の高まりを受けて、ファッション、コスメ、ライフスタイルなど、多様な業界でアップサイクルの取り組みが活発化しています。12の事例を紹介します。


1.crep(クレプ)

1.crep(クレプ)

参考:crep

「crep(クレプ)」は、工業用クレープ紙の端材を活用して生まれたサステナブルなブランドです。本来セメント袋や電線の包装に使われていたこの紙は、丈夫で水にも強く、独特のシワ感が特徴です。

裏面のラミネート加工によって防水性も備えており、アウトドアシーンにも適しています。現在はレジャーシートやテーブルマットなど多彩な商品が展開されており、工業資材から一般向け製品への展開というユニークな試みに注目が集まっています。


2.RYE TENDER(ライテンダー)

2.RYE TENDER(ライテンダー)

参考:RYE TENDER

「RYE TENDER」は、アパレル生産時に発生する残糸や残布を再利用し、ユニセックスな衣服を展開するアップサイクルブランドです。全国各地でポップアップイベントを開催し、素材の希少性や質感を活かした一点物に近いアイテムを届けています。

中にはイタリア製ウールやシルクといった高級素材も含まれており、デザイン性と耐久性の両立を実現しています。限りある資源を生かし、持続可能なファッションの可能性を秘めています。


3.SARARTH(サラース)

3.SARARTH(サラース)

参考:SARARTH

「SARARTH(サラース)」は、一般的なシルバージュエリーとは異なり、再生シルバーを活用した純度99.9%のピュアシルバー「高硬度PURE SILVER 999」を採用したブランドです。金属アレルギーに配慮しつつ、高い耐久性と美しさを兼ね備えたジュエリーを展開しています。

また、販売に至らなかったジュエリーのジェムを新たなアクセサリーとして再生し、それぞれの石の個性を引き立てるデザインに仕上げているのも特徴です。売上の一部は森林保全活動にも活用されています。


4.Relier81(ルリエエイトワン)

4.Relier81(ルリエエイトワン)

参考:Relier81

「Relier81」は、使われなくなった着物や帯に新たな命を吹き込むアップサイクルブランドです。日本の伝統美を現代のファッションに融合させたアイテムを展開しており、特にウィメンズシューズやバッグ、シャツなどは人気を集めています。

すべての商品は国内の職人によって丁寧に製造されており、その品質とデザイン性は高く評価されています。着物文化の再発見とともに、サステナブルなライフスタイルを提案する存在として注目されているでしょう。


5.カエルデザイン

5.カエルデザイン

参考:カエルデザイン

「カエルデザイン」は、海洋プラスチックや廃棄花を新たな価値あるアイテムへと変えるアップサイクルブランドです。海岸で集めたプラスチックは、洗浄・加工を経て手作業でイヤリングやピアスなどに仕上げられ、各地の素材の個性を活かした一点ものが生まれています。

さらに、生花店で廃棄される予定だった花もアクセサリーとして再利用されており、美しさとともに環境問題への意識を高めてくれます。自然と人をつなぐデザインが魅力です。


6.SUMIDECO(スミデコ)

6.SUMIDECO(スミデコ)

参考:SUMIDECO

「SUMIDECO(スミデコ)」は、通常廃棄される梅の種を炭化し、紙に抄き込み再活用して誕生したアップサイクルブランドです。開発された「Sumideco Paper」は、消臭・調湿といった炭の機能を持ちながら、畳の芯材や襖の裏紙、脱臭アイテムなど幅広く活用されています。

糊や樹脂を使わずに炭を定着させる独自技術により、炭の含有量が高く、機能性とコストパフォーマンスを両立した持続可能な製品づくりが実現されています。


7.LOVST TOKYO(ラヴィストトーキョー)

7.LOVST TOKYO(ラヴィストトーキョー)

参考:LOVST TOKYO

「LOVST TOKYO」は、廃棄されるはずだったりんごを原料としたアップルレザー「aplena(アプレナ)」を用い、環境に配慮したアイテムを展開するブランドです。りんごの搾りかすと樹脂を組み合わせたこの素材は、石油系原料の使用を抑えたヴィーガンレザーとして注目されています。

バッグなどの製品には、デザイン性と機能性が両立されており、長く愛用できる工夫がなされています。持続可能な暮らしを支える選択肢の一つです。


8.yoccattaTOKYO(ヨカッタトーキョー)

8.yoccattaTOKYO(ヨカッタトーキョー)

参考:yoccattaTOKYO

「yoccattaTOKYO」は、自動車の廃棄部品の中でも再利用が難しいとされていたエアバッグやシートベルトに着目し、アップサイクルバッグを展開するブランドです。代表の伊藤卓哉さんは、ファッションデザイナーとしての経験を活かし、未使用のまま処分されていた素材に新たな価値を与えました。

軽さと強度を兼ね備えたエアバッグ素材を使用したバッグは、ひとつひとつ異なる風合いが魅力です。機能性と個性を両立した、持続可能なアイテムです。


9.東京コルク

9.東京コルク

参考:東京コルク

「東京コルク」は、不要になったワインのコルク栓を再利用し、独自の製品づくりを行っているアップサイクルブランドです。集められた天然コルクは、その柔らかさや温もりある風合いを活かし、クッションやタイルなどのインテリアアイテムへと生まれ変わります。

再利用とは思えない洗練されたデザインは、店舗やスタジオでも採用されており、素材の魅力を活かしたサステナブルなものづくりが注目されています。


10.PEEL Lab(ピール ラボ)

10.PEEL Lab(ピール ラボ)

参考:PEEL Lab

「PEEL Lab」は、廃棄されるはずだった植物資源を活用し、サステナブルな素材開発を行うグリーンテックベンチャーです。パイナップルの葉をはじめとする農業副産物を使って製造された植物由来レザーは、動物性原料を使わず環境への負荷も低減が可能です。

スポーツ用品や家具、ファッションアイテムなど多用途での展開が進められています。特に注目されるのは、リアルな質感を再現したレザー製ランドセル「Pinaseru」で、動物愛護の理念にもとづいた製品づくりが評価されています。


11.GOOD CACAO(グッドカカオ)

11.GOOD CACAO(グッドカカオ)

参考:GOOD CACAO

「GOOD CACAO」は、カカオ豆の焙煎時に出る副産物「カカオハスク」に着目し、その廃棄物を活用した食品づくりを行っているブランドです。通常は捨てられてしまうカカオの種皮を、お茶やカレー、せんべいなど多様な商品へとアップサイクルしています。

香ばしくほのかな甘みを持つカカオハスクならではの風味が、日常の食卓に新たな発見をもたらすでしょう。素材の可能性を広げる取り組みとして、注目を集めています。


12.文染

12.文染

参考:文染

「文染」は、京都の文具メーカー「株式会社タケダ事務機」が手がける筆記具ブランドで、富山県の「岸田木材株式会社」との連携により誕生しました。地域資源を活かした取り組みとして、氷見の里山で育った杉の皮をアップサイクルし、天然染料インクとして販売しています。

自然な風合いと香りを感じられるこのインクは、圧縮杉材を使った専用のつけペンとともに展開され、使う人に森の息吹を感じさせるユニークな文具です。


 

サスティナブルなスローウエアブランド「CLALAFOR」のご紹介

サスティナブルなスローウエアブランド「CLALAFOR」のご紹介

「CLALAFOR」は、美しい瀬戸内海の港町で、2022年に生まれたばかりのサスティナブルなスローウエアブランドです。人体や環境に有害な化学物質を使用しておらず、倉敷染という繊維加工の安全認定も取得しています。

また、トウモロコシから作られた生分解性のリサイクルポリエステル素材のニットを使用しており、持続可能なファッションの選択肢として、快適なスローウエアを提供しています。CLALAFOR(クララフォル)はこちら


 

アップサイクル製品 例でよくある3つの質問

アップサイクル製品 例でよくある3つの質問

アップサイクル製品に関してよくある質問として、その起源や認証制度、そして今後の課題について3つお答えします。


質問1.アップサイクルの起源は?

アップサイクルという言葉が広まったのは1994年、レイナー・ピルツがその概念を語ったのがきっかけとされていますが、実際には人々は古くから身近な素材を工夫して再利用してきました。日本の金継ぎや、欧米で古くから続くキルティング文化などもその一例です。

大量生産と消費が主流となった近代以降、こうした再利用の知恵は影を潜めましたが、持続可能な社会の実現が求められる今、アップサイクルは再び脚光を浴びる存在となっています。


質問2.アップサイクル認証とは?

質問2.アップサイクル認証とは?

参考:アップサイクル食品協会(UFA)

2020年、アメリカのアップサイクル食品協会(UFA)が導入した「アップサイクル認証」は、食品ロス削減を目的とした世界初の制度です。これは、廃棄されるはずだった食材や製造過程で出る副産物を活用し、かつ人が安全に消費できる食品に付与されるものです。

原材料の情報やサプライチェーンの透明性も重視されており、認証を受けた商品には専用のロゴマークが表示されます。消費者にとって信頼の指標となる新しい取り組みです。


質問3.アップサイクルの今後の課題は?

アップサイクル素材は、廃棄物を有効活用しながら環境負荷の軽減や資源の有効利用を実現できる点で注目されています。省エネルギーや廃棄物削減に貢献するだけでなく、企業にとってはサステナビリティをアピールする手段としても有効です。

しかし、原料となる廃材の安定供給や加工のための技術・コスト面での課題も存在します。導入を進めるには、信頼できる環境配慮型素材の供給企業と連携し、持続可能な体制を築くのが重要です。


 

まとめ

まとめ

アップサイクル製品の可能性を感じていただけたでしょうか。廃棄物に新たな価値を吹き込み、資源を有効活用するアップサイクルは、環境問題への意識の高まりとともに、ますます注目を集めています。

ご紹介した12の事例のように、様々な企業が創造性豊かなアップサイクル製品を生み出し、私たちの生活を豊かに彩っています。自分にとって本当に必要なものを選び、長く大切に使えば、私たちも持続可能な社会の実現に貢献できるでしょう。

なお「CLALAFOR」では、トウモロコシから作られた生分解性のリサイクルポリエステル素材のニットを使用し、サスティナブルなスローウエアを提供しています。⇒CLALAFOR(クララフォル)はこちら