近年、人や環境に配慮した考え方として「エシカルファッション」が注目されています。
本記事では、エシカルファッションの基本的な考え方に加え、取り入れることによるメリットとデメリット、選び方のポイント、さらに実際にエシカルファッションに取り組んでいるブランドの事例までを詳しくご紹介します。
未来に向けた新しいファッション選びのヒントとして、ぜひ最後までお読みください。
エシカルファッションとは?

エシカルファッションは、環境や人権への配慮を重視した新しい価値観のもとで成り立つスタイルです。単に見た目やトレンドを追うだけでなく、生産背景にある労働環境や素材の持続可能性にも注目します。
エシカルファッションでは、リサイクル素材の使用やフェアトレードの導入などを通じて、ファッションのあり方そのものを見直す動きが広がっています。サステナビリティへの意識が高まる今、エシカルファッションは選択の基準として重要性を増しています。
エシカルファッションの10の基準

Ethical Fashion Forumが示しているエシカルファッションの10の基準は以下の通りです。
1.安価で使い捨て型の「ファストファッション」に反対する
2.生産する労働者の賃金・権利・労働環境を守っている
3.持続可能な生活を支える
4.有毒農薬や化学物質の使用問題に取り組んでいる
5.環境にやさしい素材を使用、または開発している
6.水の使用を最小限にしている
7.リサイクル、エネルギーやゴミ問題への取り組みをしている
8.ファッションの持続可能性を開発・促進している
9.取り組みを報告し、解決策を広めようとしている
10.動物の権利を守っている
エシカルファッションは、消費者だけでなく生産者や環境にも配慮された取り組みを重視する考え方です。Ethical Fashion Forumが定める基準には、労働者の権利保護や環境負荷の低減、動物福祉への配慮などが含まれています。
また、限りある資源を守る観点から、ファストファッションのような大量生産・大量消費のスタイルに警鐘を鳴らす姿勢も特徴です。ファッションを通じて持続可能な社会の実現を目指すこの流れは、今後さらに広がっていくと考えられます。
エシカルファッションを取り入れるメリット・デメリット

エシカルファッションには、社会や環境への貢献といったポジティブな側面がある一方で、注意すべき点も存在します。ここでは、エシカルファッションのメリットと、事前に理解しておきたいデメリットについて、わかりやすく解説します。
メリット
エシカルファッションは、原料選びから製造工程、そして不要になった後のリサイクルまで一貫して環境や社会に配慮された仕組みを取り入れています。Ethical Fashion Forumの理念にも通じるように、着られなくなった衣類を回収・再資源化するサーキュラーエコノミー型の取り組みが浸透しつつあります。
流行に左右されないタイムレスなデザインが多いため、愛着を持って長く着られるところもメリットです。こうしたファッションは、モノを大切にする価値観を育みます。
デメリット
エシカルファッションは価格がやや高めに感じられるかもしれませんが、その背景には環境や人権への配慮、丁寧な生産工程があるため、実際には適正な価格といえるでしょう。ファストファッションのように低コストで大量生産された商品には、しばしば生産者の劣悪な労働環境が隠れています。
また近年では、環境配慮をうたいつつ実態が伴わない「グリーンウォッシュ」も見受けられるため、エシカルファッションの理念をしっかり実践しているかを見極める視点も重要です。
エシカルファッションを選ぶ際のポイントは3つ

エシカルファッションを選ぶ際には、単にデザインや価格だけでなく、素材や生産背景にも目を向けてみましょう。ここでは、エシカルファッションを選ぶときに特に意識したい3つのポイントについて、詳しくご紹介します。
1.肌にやさしい素材が使用されている
エシカルファッションでは、着心地だけでなく肌への優しさも重視されており、特にオーガニックコットンやリネンといった天然素材が多く採用されています。これらは吸湿性や通気性に優れ、化学繊維のような刺激が少ないため、敏感肌の方にも適しています。
Ethical Fashion Forumの理念にも通じるように、素材の選定段階から人や環境への影響を考慮しており、その丁寧な姿勢が肌にもやさしく届くのです。肌に直接触れるアイテムほど、その恩恵を実感できます。
2.環境へ配慮されている

参考:フェアトレード
ファストファッションの裏側では、低価格を実現するために過剰な農薬使用や劣悪な労働環境が問題となる場合があります。こうした背景を変えるための手段のひとつがフェアトレードです。
Ethical Fashion Forumでも重視されるこの考え方は、生産者に正当な報酬を支払い生活の安定を図り、結果的に環境への負荷を抑える効果も期待されています。持続可能な社会の実現には、生産と消費の両面からの意識改革が不可欠です。
関連記事:アップサイクルとは?リサイクルとの違いやメリット・デメリットを詳しくご紹介します! – CLALAFOR
3.トレーサビリティーが確保されている
エシカルファッションにおいて重要視されるのが、製品の背景を明確にするトレーサビリティーです。Ethical Fashion Forumが掲げる基準にも通じるこの仕組みでは、原料の調達から製造、流通、廃棄に至るまでの過程が記録・公開されており、消費者は安心して商品を選べます。
情報開示に積極的なブランドほど信頼性が高く、環境や人権への配慮が行き届いていることを示す目安にもなります。透明性は、持続可能な選択への第一歩です。
エシカルファッションに取り組むブランド事例5選
エシカルファッションの考え方を実践しているブランドは、年々増えています。素材選びから製造過程、デザインに至るまで、配慮を取り入れている注目のブランドを5つご紹介します。
1.Enter the E

参考:Enter the E
Enter the Eは、エシカルファッションをより多くの人に届けることを目指し、デザイン性と価格のバランスに優れた商品を展開しています。創業者・植月氏の個人的な体験をきっかけに始まったこのブランドは、環境への配慮と労働者の権利保護を重視しながらも、日常的に取り入れやすいアイテムを揃えています。
渋谷スクランブルスクエアでの実店舗展開や受注生産の導入など、大量廃棄を防ぐ工夫も特徴です。デニムのアップサイクルなど、持続可能な取り組みも積極的に進めています。
2.People Tree

参考:People Tree
ピープルツリーは、フェアトレードを重視しながら、オーガニックコットンやジュート、テンセルなど環境にやさしい素材を用いた商品づくりを行っています。途上国の生産者に適正な賃金を支払う仕組みを取り入れ、衣料品の多くを伝統的な手仕事で仕上げているのが特徴です。
また、売上の一部を教育や医療などの社会貢献活動に活用している点も、ブランドの理念を体現しています。ピープルツリーの製品を選ぶと、サステナブルな未来づくりに貢献する選択となります。
3.KAPOK KNOT

参考:KAPOK KNOT
KAPOK KNOTは、インドネシア産のカポックの実を使ったダウンコートを展開するエシカルファッションブランドです。動物性素材を使わず、わずか5mmの厚みで高い保温性を実現するカポック繊維は、軽さと機能性を兼ね備えたサステナブル素材として注目されています。
創業者の深井氏は、生産から製品化までの過程すべてに携わる「Farm to Fashion」の理念を掲げ、実際に現地の農園を訪れてサプライチェーンの透明性を確認。環境と倫理に配慮した新たな選択肢を提案しています。
4.PLASTICITY

参考:PLASTICITY
PLASTICITYは、廃棄されるビニール傘に新たな命を吹き込むアップサイクルブランドです。日本で年間約8,000万本が捨てられるビニール傘の問題に対し「10年後に必要のない存在になる」を目指して活動しています。
バッグやサコッシュなどのアイテムは、国内の職人が一点ずつ丁寧に仕上げており、耐久性とデザイン性の両立を実現しています。スタイリッシュでありながら社会課題に寄り添う姿勢が、多くの共感を呼んでいます。
5.coxco

参考:coxco
coxcoは、ファッションを通じて社会課題に向き合う姿勢を貫くエシカルファッションブランドです。シリーズごとに異なるテーマに取り組み、これまでに大量廃棄問題や環境負荷の軽減を題材に商品を展開してきました。
反毛素材やペットボトル由来の再生繊維など、サステナブルな素材選びと洗練されたデザイン性を両立しています。購入者の中には社会的なメッセージに共感する人もいれば、純粋にデザインに惹かれる人もいるでしょう。
coxcoは、着ることで思いを伝える“メディア”としての服を提案しています。
サスティナブルなスローウエアブランド「CLALAFOR」のご紹介

「CLALAFOR」は、美しい瀬戸内海の港町で、2022年に生まれたばかりのサスティナブルなスローウエアブランドです。人体や環境に有害な化学物質を使用しておらず、倉敷染という繊維加工の安全認定も取得しています。
また、トウモロコシから作られた生分解性のリサイクルポリエステル素材のニットを使用しており、持続可能なファッションの選択肢として、快適なスローウエアを提供しています。⇒CLALAFOR(クララフォル)はこちら
エシカルファッションでよくある3つの質問

エディカルファッションについてよくある質問を3つにまとめました。
質問1.エシカルファッションが生まれた背景は?
エシカルファッションが注目されるようになった背景には、ファッション業界が抱える深刻な環境負荷と人権問題があります。大量生産と大量廃棄による資源の浪費や水質汚染、さらに発展途上国での劣悪な労働環境などが長年見過ごされてきました。
加えて、生産過程の不透明さが消費者の判断を困難にしていました。近年では「買い方」で社会を変えようとする意識が広がり、倫理的な視点で商品を選ぶ人が増加。こうした動きが、エシカルファッションの浸透を後押ししています。
質問2.エシカルファッションとスローファッションの違いは?
スローファッションは、使い捨てを前提とした消費スタイルから離れ、長く愛用できる高品質な衣服を選ぶことに価値を置く考え方です。エシカルファッションと同様に人や環境への配慮を含みますが、特に持続可能な生産体制と在庫削減に重点を置いています。
ファストファッションのような大量生産ではなく、必要な分だけ丁寧につくられた服を大切に着続けるという姿勢は、廃棄物削減や資源の節約にもつながります。持続可能な未来のための選択肢として注目されています。
質問3.アップサイクルとエシカルファッションの関係は?
エシカルファッションは、環境への影響や労働者の権利、社会的課題に配慮して生産されたファッションを指します。近年注目されているアップサイクルもその一環で、廃棄されるはずだった素材を再利用して新たな製品に生まれ変わらせる取り組みです。
この手法は廃棄物の削減だけでなく、資源の有効活用や創造的なデザインにもつながります。アップサイクルを取り入れたエシカルファッションは、持続可能な社会づくりに貢献する重要な選択肢となっています。
関連記事:アップサイクル製品の特徴やメリット・デメリットもご紹介! – CLALAFOR
まとめ

エシカルファッションは、環境や社会に配慮した持続可能なファッションのあり方として、近年ますます注目を集めています。本記事では、エシカルファッションの基本的な考え方や10の基準、取り入れるメリット・デメリット、選び方のポイント、さらには取り組み事例について紹介しました。
素材や環境への配慮、トレーサビリティといった視点を意識すれば、より自分らしいエシカルなファッション選びができるでしょう。これからの時代にふさわしいファッションスタイルを、ぜひ日常に取り入れてみてください。
なお「CLALAFOR」では、トウモロコシから作られた生分解性のリサイクルポリエステル素材のニットを使用し、サスティナブルなスローウエアを提供しています。⇒CLALAFOR(クララフォル)はこちら